ファンタジーへの誘い@小説 夜の物語

「ねえ、今日の夜は賑やかだよ?」

「ホントだね。とても賑やかだ」

とある星の果て。姿は見えないが、何処からともなく声が聞こえる。

「皆は楽しんでくれているのかな?」

「きっと楽しんでいるさ」

辺りは何もなく、人はおろか動物さえいない。

それでも"声"はあたかも様子を見ているかのように話し続ける。

「もう僕たちはこの星にいなくても大丈夫だと思うかい?」

「難しい質問だね。成長を見守るのなら一回離れてもいいし、まだまだと思うなら留まればいい」

「僕たちがプレゼントした'夜'を、この星の住人は上手く使ってくれるかな」

「それこそ君が自分で判断すべきだ。私は君の手伝いに過ぎない。全ては君次第だ」

二つの"声"は、この星の住人ではないようだ。いや、もしかしたらそもそも何処かに定住しているわけではないのかもしれない。

「……僕は、いろんな場所に'夜'を届けなければならない」

「そうだね。ここから見える空にあるだけの場所でも大変なのに、君はもっともっとたくさんの場所に'夜'を届けるんだ」

「本当に、多すぎるよ。僕が地に足をつけることが出来る日は来るのかな?」

「さてね。でも、君がつかれたというのならば。ここから見えるあの《月》という場所で休んでもいいんじゃないかい?あそこは随分と落ち着くところだからね」

「……叱られないかな?」

「分からない。ただ、私は君の後ろをずっと歩き続けるよ」

「叱られる時は止まっちゃうけど?」

「その時は一緒に止まって叱られようじゃないか」

「そっか……」

そしてそれ以降、この二つの"声"が聞こえることはなかった。

この日、地球という星から、煌めく二つの流星が飛び立つという現象が観測されたらしい。

人はそれを[始まりの星々]、通称LIGHTS UPと呼んだ。