展示団体紹介 ~政治経済研究部~ No.6

ドローン宅配について

Amazonが6月に「数ヶ月以内にドローン宅配実用化」を発表するなど、現在、物流ビジネスにおけるドローンの活用法が検討されている。将来、物流を支えるインフラとして、世界中をドローンが飛んでいる未来が来るかもしれない。日本においては、都市部のドローン配送について、2020年代に実現させることを目指し、千葉県を国家戦略特区に指定している。

一方でドローンは、許可されていないエリアでの飛行や墜落事故が多発していることもあり、政府はドローンを飛行に関わる法規制の整備を進めようとしている。今年の5月には国会で小型無人機等飛行禁止法が制定され、法律が定めるドローンの飛行禁止対象施設に、防衛大臣が指定した防衛関係施設が追加された。ドローンによる配送ビジネスが実現されるには、このような法整備や実際の運用面で出てくる課題への対応を進めていくことが必要であろう。

最近、日本の物流業界は人材不足が話題になっている。次世代の物流を支える可能性が高いドローンについて、期待される効果、課題を整理したい。

ドローン宅配の効果について

コスト削減

「ラスト・ワン・マイル問題」(物資を倉庫から顧客の自宅まで輸送するのに多大な費用がかかる問題)の解決が期待される。

物流業界の人材不足は主に配送する人が不足していることによるものであるが、最も人手を要するラスト・ワン・マイルをドローンが担ったり、配送先に人がいるかどうかを先回りして確認することも出来るのではないか。

スピードアップ

渋滞が発生しないため、医療品など緊急性の高いものを早く宅配することも期待できる。

インフラの強化

高齢者、障害者、幼児を抱える親など、外出が厳しい人や、離島や山奥、過疎地域に住む人のライフラインとして、インフラが整備されてきたら、より安価に物資を届けることが期待できる。

課題について

安全性

ドローンの墜落や故障はゼロにすることは出来ない。

サービス化を実現するには、この点を前提にした法整備やインフラなどの環境整備、ドローンの機能強化が必要になるであろう。

例えば、人や建物、遮蔽物となり得る車や木、水たまりといったものをドローンが正しく認識する技術力の強化が必要になると思われるし、万が一事故が発生した場合の責任問題が多方面に及ぶことが想像されることから、例えばドローンメーカーを許認可制にする必要があるかも知れないし、法制面の整備はここから更に進めていく必要があると思われる。

サービスの安定性

天候が悪い場合や、通信状態の安定していない山間部への配送を実現するには、ドローン本体の強化に加え、通信インフラの一層の整備が必要になるであろう。

逆に、そうした点が強化されない状況では、安定したサービスが提供できる領域でのみ行われるべきである。

プライバシー

ドローンについている空撮用のカメラによってプライバシーの侵害、犯罪が起こる可能性がある。


以上のような課題も多くあるが、効果を考えるとドローン宅配の実現を期待する人が多いのは明白であろう。

今年の1月には埼玉県秩父市と楽天、東京電力ベンチャーズ、ゼンリンの3社がドローンによる荷物配送モデルの実用化に向けた検証実験を行った。この実験では、東京電力ベンチャーズ、ゼンリンが進める「ドローンハイウェイ構想」(東京電力ベンチャーズが管理する送電線網を「道しるべ」として、ゼンリンが三次元地図を作成。それをもとに鉄塔の20m上空に安全な空路を設定し、実際の飛行は送電線の鉄塔に設置された気象データを考慮しながらドローン飛行を行う)に基づき、操縦者なしで目視外飛行による自動配送を実現するために行われた。

ドローンによる次世代物流システムの構築には日本の大手企業も本気になってきている。このように企業の技術力を集結させ課題を克服し、ドローンの開発、法規制の整備により、世界中でドローンが飛び回る時代がくることを期待したい。

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